#017 お金にまつわるアメリカの話で日本でも定着しそうなこと


商業ベースの仕掛けがあったとはいえ、この十数年でのハロウィンパーティー、ブラックフライデーの特売セール等、アメリカの世俗的なイベントが日本に急激に定着したことに驚きを覚えます。

ここでは日常生活でのお金にまつわる日米のいくつかの違いと、そこでの「米国流」が日本に今後定着するかどうかを予想してみたいと思います。

アメリカで生活を開始するにあたって、先ず何はともあれ必要となるのがSSN ( Social Security Number )、すなわち「社会保障番号」です。

この番号を取得しなければ、社会保障関係のみならず、銀行口座も開設できませんし、運転免許証も取得できず、就業も確定申告もできないという社会生活上のあらゆる手続きに必要となる「居住者識別番号」です。

日本では政府がマイナンバー制度の普及に腐心していますが、デジタル化時代での納税義務、社会保障給付等を効率的且つ公平に管理する為には、アメリカのSSN制度のように義務化させていく必要性を感じます。

SSN取得後、アメリカでの生活を軌道に乗せるために必要となるのは現地での運転免許証と銀行口座です。

アメリカの銀行で口座開設をすると、小切手帳(Check Book)を作るのが通常です。

個人小切手帳も支払先(Pay to the order of ...)と金額を記入し署名をして渡すと、受取人は自分の銀行にその小切手を持ち込み裏書きして現預金化するという仕組みです。

今後、個人利用の小切手帳が日本で普及することは、キャッシュレス決済が発展した中ではもうあり得ないでしょう。

さっと取り出して金額を記入しサインして渡すのはなんとなくカッコよくて好きだったのですが、アメリカでもスマホ決済等の普及により利用は減少しているようです。

さて、受領した小切手を銀行で現預金化する時はもちろんのこと、クレジットカードで買い物をする時に、「Picture ID, please.」と言われて顔写真付きの証明書にて本人確認をしてくるのがアメリカでは普通です。

その際パスポートを提示することも可能ですが、ほぼ全員、現地の運転免許証を使用していますので、特にローカルな場所で店員に馴染みのない本人確認証を見せると余計な時間が掛かることも多々あります。

運転目的だけではなく日常使いの身分証明書として、米国内で発行された運転免許証を取得しておくことは日常生活上重要です。

一方、日本では近年中のマイナンバーカードと運転免許証、健康保険証の一体化が予定されています。

クレジットカード関連の詐欺事件の多くはネット上のようですが、少なくとも実店舗等での利用時にはマイナンバーカード等のPicture ID提示が義務化されれば詐欺被害をある程度は抑止することができるでしょう。

次に外食時に於けるお金にまつわる習慣についてです。

例えば、それなりのレストランに客を招いてワインを頼むことになっても、自分が詳しくないという理由でワインリストを相手に渡して選んでもらう時は気をつけなくてはいけません。

何故ならば、欧米の社交に於いては「ワインを選ぶ人=ホストする人=お金を払う人」という暗黙の了解があるからです。

ワインリストを渡されたゲストは招待されたつもりでいるので「えっ、私が払うの?」と心の中で思ってしまいます。

自分がワインに詳しくなく招待した相手に選んでもらいたい場合には、「Please be my guest but I will appreciate it if you will select any good wines for our dinner tonight.」みたいなことを付け加えて誤解を招かないようにする必要があります。

また複数人同士での会食では、日本ではホスト側の部下が席を外してレジで支払うのが普通ですが、アメリカでは上司の方がテーブル席にてウエイターを呼んで支払うのが通常です。

日本でも「ポイ活」に熱心な世代が上司に増えると、「オレが自分でクレカで払う」となるのでしょうか(笑)。

追記:

お金にまつわるアメリカでの面白い習慣に「ギフトレシート」というものがあります。

これは通常の領収書とは別に、プレゼントをもらった人がその品物を気に入らないとかサイズが合わない時などに、返品して同店舗で使える買物券への交換等ができる証書です。

贈る側が品物を購入する際にレジで入手してプレゼントの箱に同封します。

日本では結婚式等での引き出物にて最初から相手に品物を選ばせるカタログギフト方式が既に主流です。

ギフトレシート方式が日本で流行る可能性は低いでしょうし、アメリカでもアマゾン等のプリペイドのギフトカードが普及したので、ギフトレシートの利用は以前ほどではないようです。

2022年12月14日